昔ながらの日本のカフェ・喫茶店業界では、コーヒーと言えば「ドリップコーヒー」のことを指すことが多かったのですが、スターバックスコーヒーの登場以来、日本でも急激にエスプレッソやカフェラテなどのコーヒードリンクが注目を浴びるようになってきました。
当店の直営カフェ「note coffee house」でも、全体の売上の約30%、ドリンク類のみの売上に限って言えば、約40%以上がエスプレッソマシンを使ったドリンクが占めています。仮に月商100万円のカフェを目指すとしたら、そのうち30万円ぐらいがカフェラテやカプチーノなどのエスプレッソ系ドリンクなのです。
今や、エスプレッソ系ドリンクは国内カフェにおいて「なくてはならないもの」のひとつと言って間違いありません。
実際、お店でもカフェラテやカプチーノを提供するオーナーが増え、美しく見せるための「ラテアート」なども目にする機会が増えました。
こうした変化とともに、ご家庭での趣味として、またはカフェを開業するにあたり「カフェラテを出したり、ラテアートを描きたい」という方が増えてきましたし、弊社セミナールームへのご相談を受けることも多くなってきました。
ですが、実際にそれらをつくるには、どうしてもエスプレッソマシンが必要になってきます。エスプレッソマシンには安価な家庭用から業務用マシンまでありますし、業務用の中でも様々なものがあります。
そのため、エスプレッソマシンが必要と言われても、どんなものを購入すればいいか分からないかと思います。そこで今回は、こうした家庭用と業務用エスプレッソマシンのそれぞれの特徴についてご紹介いたします。
※目的のエスプレッソマシンがすでにある方は、業務用エスプレッソマシンのお見積りをいたしますので、下記リンク先の価格表などをご覧ください
家庭用と業務用エスプレッソマシンの違いとは?
家庭用エスプレッソマシンの違いは大きく分けて2つ。
「連続での抽出ができる杯数」と「できあがるドリンクのクオリティ」です。
家庭用マシンとは、いわゆる1万円~20万円ぐらいのエスプレッソマシン(※価格目安は定価・税抜きでの話です)。メーカーによっては、10万円前後ぐらいのマシンを業務用とうたって販売していますが、抽出杯数やクオリティから見て、少なくともコーヒー専門店としての使用や、何杯もカフェラテを提供するお店での使用は難しいでしょう。
メーカーとしては、bonmac(ボンマック)やDe’Longhi(デロンギ)、ASCASO(アスカソ)などがここにあたります。
家庭用マシンは業務用マシンに比べてサイズも小さく、ミルクを泡立てる力も、エスプレッソを抽出する力も小さなものになります。すると、美味しいエスプレッソやミルクができませんし、なにより何杯も連続してドリンクを抽出できません。
「コーヒーはあくまでもメニューに入っているだけで、提供することはほとんどない」というならまだしも、10万円ぐらいの家庭用エスプレッソマシンでは、10席以上あるカフェでの使用は不便さを感じることが多いでしょう。たとえば、2人ならまだしも、4人同時にカフェラテのオーダーが入ったときにかなりの時間を食うことになってしまいます。
また、一般的にネット上で「業務用レベル」とされている20万円前後の全自動エスプレッソマシンもこのクラスにあたります。弊社にも「ラテアートが描けない」「専門店のようなカフェラテが作れない」と毎年数件はご相談を寄せられますが、このレベルの全自動マシンは、業務用とうたうにはかなり厳しいレベルです。オフィスやサロンでお客様に提供するレベルなら問題ありませんが、カフェで提供するレベルとしては抽出杯数もクオリティも満足いかないでしょう。
一方で、業務用マシンは30~300万円ぐらいと幅広い価格帯のものがあります。それぞれの違いについては改めてご紹介しますが、どのマシンにせよ20万円以下のマシンとは比べものにならないぐらいのクオリティ、連続抽出杯数が提供できます。
30~100万円ぐらいの業務用マシン
30~100万円ぐらいのエスプレッソマシンであれば、だいたい1日に80~100杯までの提供には耐えられます。席数のイメージとしては、10席ぐらいのコーヒー専門店、20~30席ぐらいのカフェ・喫茶店であれば問題ないでしょう。
もちろん、20席ぐらいのカフェでも、「コーヒーメインのカフェで、オフィスや観光地に面しているため提供杯数が1時間に30杯を超えることもある」場合はもっと上のクラスを用意すべきです。あくまでも席数は目安ですので、ご注意ください。どちらかというと、カフェラテを1日に何杯提供するかを重視してください。
ただ、このぐらいのマシンを使っていれば、まずコーヒーやカフェラテのクオリティ・提供速度でお店の評価が下がることはないでしょう。
メーカーとしては、「Simonelli社のムジカ、アッピア」など、「VIBIEMME社のドモバースーパーダブル」「LA MARZOCCO社のリネアミニ」「LA CIMBALI社のM21JU-DT/1」などがここにあたります。
150~250万円ぐらいのエスプレッソマシン
150~250万円ぐらいのマシンを使用していれば、まずコーヒー専門店でなければクオリティとしても抽出杯数としても問題はありません。コーヒー専門店でも、1日200杯以上の超繁盛店でもなければ、このクラスを使用していて問題はないでしょう。
「Simonelli社のアウレリア」「Synesso社のS-200」、「LA CIMBALI社のM34SE-DT/2」あたりがこのランクのモデル。都市部ならゴロゴロありますが、地方でこのクラスのマシンを導入している店舗は、チェーン店を除けばほとんどないため、地域一番店を目指すのであれば、導入を検討してもよいでしょう。
実際、弊社のお客様のなかには、地方でこのクラスのマシンを導入した専門店様が何店舗かございます。いずれも、「地域で一番」のコーヒー専門店を目指し、導入を検討された方ばかりです。東京、大阪、名古屋、福岡などの中心部では「このクラスのマシンを入れただけでナンバーワン!」というほど珍しいものではありませんが、まだまだ地方では導入も少なく、目新しいものでしょう。
250万円~の業務用エスプレッソマシン
このクラスになると、ただ単純に「ドリンクのクオリティが上がる」「抽出杯数が上がる」ということ以上に、様々なプラスアルファの機能が付いてきます。
たとえば、エスプレッソを抽出する前に蒸らしの機能が付いたり、細かく抽出圧を変えることができたりetc…と、初心者にはなんのことだか分からない設定が増えてきます。また、一般的に求められる「全自動マシン」でも満足できるクオリティが抽出できるのがこのクラスです。
このクラスであれば、都市部でも間違いなくトップクラスの設備を備えたコーヒー専門店と言っていいでしょう。ですが、正直、このクラスを扱うには、いきなり初心者の方が触ってどうこうできるレベルではないことが多いので、メーカーでの抽出指導や当店のような専門店でのセミナーを受講されることをおすすめします。
マシンとしては、「Simonelli社のブラックイーグル」「LA CIMBALI社のスーパープレミア ドサトロン M39GT-DT」「Synesso社のCyncra」などがあたります。
まとめ
ここに書いてあることは、“あくまで目安”です。
家庭用マシンで20席ぐらいのカフェを経営しているお店もありますし、業務用でも店舗の規模感にあっていないマシンを使っているお店もたくさんあります。
ですが、弊社のセミナールームにご相談に来られたお客様を見ていると、まず間違いなくなんらかの点で苦労をされています。「このマシンではうまくラテアートができない」「もっとおいしいカフェラテを提供したい」など、規模感に合わないマシンを購入したばかりに起きる問題もお聞きします。
エスプレッソマシンを購入される際には、予算の問題もあるとは思いますが、ぜひ「一日にどれだけの杯数を抽出したいのか」「どれぐらいの売り上げを上げたいのか」をベースに、適したマシンを検討していただければと思います。
弊社でも、メーカーと直接契約を結んでおり、これらのマシンに関してはお取り扱いがございますので、ご興味がありましたらお見積り等無料で承ります。お気軽にご相談ください。